社員インタビュー:国を越えて、自分の常識も超えて 税務からグループの未来を支える
ー数字だけじゃない。企業の文化・社風を理解して、税務から会社を支える役割を担えるか。
今回インタビューするのは、東京貿易ホールディングス(以下TBH)会計部の税務を担当する有坂さん。
東京貿易グループ16社の税務を担う、税務のエキスパートである彼女。税務知識はさることながら、会社間の壁を越えコミュニケーションを密にとり、さまざまな情報を元に分析し、仕事に活かす。その姿勢は、周囲から厚い信頼を得ています。
現在は、国内の法人税・消費税のみではなく、海外拠点に関する税務相談など、国境を越えた業務にも携わっており、海外で働く夢を持ちながら前向きに仕事に取り組んでいます。
今回は、有坂さんの情報収集力・行動力と、モチベーションの源泉、そして有坂さんの考える仕事の本質に迫ります。
この記事でわかること
・事業会社における税務の仕事
・税務の仕事の醍醐味
・税務の仕事をする上で大切なこと
・有坂さんの仕事の軸とは
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PROFILE
有坂 亜紀 Aki Arisaka
東京貿易ホールディングス株式会社 会計部 兼 経営企画部
経理アウトソーシング会社や税理士法人を経て、会社の内部から税務のアドバイザリー業務を担いたいと2019年9月に東京貿易ホールディングス(以下TBH)に入社。東京貿易グループの税務を一手に担う税務のエキスパート。豊富な知識量と情報収集力を元に、グループ内の税務に関するあらゆる相談に対応。グループ内のさまざまな部門から大きな信頼を得る。
目次
・数字だけではない。そこで働く人の姿を想像する
・考え方を変える・海外子会社移管プロジェクト
・人と接し、自分の世界を広げていきたい
・取材を終えて|広報部より
数字だけではない。そこで働く人の姿を想像する
ずっと中心にある、仕事のポリシー
税務の分野でキャリアを踏み出した時から、ずっと大事にしていることがあります。
それは「自分が向き合う会社がどんな会社なのか、しっかりと目を向けること」「自分の知識と考えだけで判断しないこと」。
数字からではわからないその会社ならではの文化・風土が必ずある。そこで働く人たちが大事にしていることに寄り添い、思いを馳せながら、その価値観にフィットするアドバイスをしたい。これがずっと私の中心にある考えです
税務のプロとして、キャリアのスタート
大学は経営学科。会計学を学んでいました。税務の道へ進もうと決意したのは、税理士事務所でのインターンがきっかけです。企業の経営者や経理担当者の方々に対し、経営基盤の強化や税務課題の解決策の提案などのアドバイザリー業務を行うという、税務のプロとしての仕事に魅力を感じました。
その後は、経理のアウトソーシングサービス会社や税理士法人にてキャリアを積み、多くの会社の経理・税務課題に取り組んできました。税務課題に対してさまざまな解決策がありますが、より実効性の高い提案をするためには、提出された数字を見ているだけではダメ。数字は結果ですが、なぜその数字になったのか、その会社の「考え方」を理解しないと、実現性のある提案はできません。そのため、顧客と会話をする時には、ただ業務についてだけではなく、時には世間話を挟むなど、コミュニケーションを重ね、会社についての考え方や仕事への向き合い方などを感じ取ってきました。今につながる仕事の根本を、こうやって培ってきたのだと思います
会社を支える一員として、東京貿易グループへ
税理士法人での仕事は充実していましたが、税理士法人の場合、既に完了した“結果”としての税務処理を担当することになります。提出された書類を見ながら、「税務処理の仕方を改善できるはず」「会計にこういうルールを取り入れるべき」と感じることも多くありました。もっと早いタイミングで税務のアドバイスができれば、もっと会社の力になれる。そんな思いが芽生えはじめ、事業会社で内部から税務を担う仕事にチャレンジしたいと転職活動を開始。その中で出会ったのがTBHです。
商社というだけではなく、モノを生み出す製造業(しかも出身地の新潟県に工場がある会社も!)をグループに持つ点にも、魅力を感じて入社を決意しました。
TBHに入社してからは、一貫して税務の仕事をしています。TB-GRは国内外16社で構成されており、私は主に国内の税務を担っています。これまでの仕事と大きく異なるのは、関わる人の幅広さです。経理部門だけではなく、人事部門から所得税に関する相談や海外に子会社を持つ会社の調達部門からグループ間の取引価格に関する相談を受けることもあります。グループ各社から「税務と言えば有坂」と認知されるためにも、幅広い知識を身に付けようと、常に調べ、吸収する姿勢は大事にしています。TB-GRの税務のスペシャリストとして、頼れる存在でありたい。そう考え、日々業務に取り組んでいます。
考え方を変える・海外子会社移管プロジェクト
税務から移管手続きまで一手に担う
TBHで仕事をしてきた中で、一番心に残っているプロジェクトがあります。それは、TBHがアメリカ、メキシコ、中国、タイに所有していた4つの海外子会社株式を東京貿易テクノシステム(以下、TTS)に移管し、TTSの海外戦略を強化する取り組みでした。
このプロジェクトには、税務のみならず、担当範囲を超えて、最終的な移管手続きまでも関わりました。
海外の子会社の移管となると国内子会社の場合と比べて手続きの内容も煩雑さも大きく異なります。それぞれの国によって株式譲渡に関する法的手続きや課税処理が異なるため、現地の専門家に相談しながら進めていました。
そんな時に、発想の転換となったのが、TB-GRの顧問の言葉です。「株式売却ではなく、現物出資はどうですか?アメリカなどでは、税の事を考えて用いられることも多いですよ」とアドバイスをもらいました。
「そうか…自分が“当たり前“と思っているやり方を、疑うことも大事なんだ。」と、ハッとし、考え方が変わるきっかけとなりました。自分がどのスキームを選択するかで、かかるコスト(支払う税金)が大きく変わることがあるのが税務。責任は重大です。
もっと広い知識を身に付け、さまざまなケースを知ることが必要で、「自分の知識と考えだけで判断しない。」という自分の仕事のポリシーを再認識する機会となりました。
このアドバイスをもとに、当初想定していたスキームとは異なる方法で進めていくことになりました。
4カ国にまたがった子会社の移管コスト削減に成功
スキームは確定しましたが、会社の管轄を変える手続きにも労力を費やしました。法的な手続きは国によって大きく異なり、それぞれの国の専門家に相談しながらすすめました。中でも中国は手続きが複雑。提出する書類の数も多く、期限もタイト、使うペンの色も決まっています。
全ての提出物を揃えるため、TTSの社員と共に奔走しました。社長の海外出張のスケジュールを把握してパスポートを預かる、出張のタイミングに合わせてサインをもらいにいくなど、連携しながら、ひとつひとつのピースを集めていきました。
そうして全ての提出書類を完全な形で準備することができ、子会社の移管が無事完遂。これは最終的に約5千万円以上に及ぶ移管コスト(納税コスト)の削減につながりました。
このプロジェクトは、グループのたくさんの人の智恵と協力があって成し遂げることができました。仲間と達成することの喜びに加え、他に選択肢はないのかを調べつくし、さまざまな可能性を探りながら、ベストな方法を導きだしていくことの大切さを学ぶこととなりました。
人と接し、自分の世界を広げていきたい
自分の価値観を広げるため、海外で働いてみたい
ずっと抱いている夢は海外で働くことです。これまでと違う環境に身を置くことで、自分自身を成長させたいという思いがあります。
2024年12月に、TB-GRのひとつである播州電装インドネシア(BEI)に棚卸立会のため、会計部のメンバーで行ってきました。私は棚卸対象の材料や製品だけではなく、建物や機械といった固定資産についても確認しました。TB-GRの各社の経理担当者から固定資産についての会計処理の相談を受けることもあるので、実際に訪問した時にできるだけ確認するようにしています。
今回の訪問で印象的だったのはBEIで働く人たち。みんな笑顔でチームワークよく働く姿がとても心に残っています。TBH/TML/BEEから出向中の社員とも多くの話ができ、インドネシアという異国の地でエネルギッシュに仕事をしている様子に刺激も受けました。自分の武器である税務という分野を基盤に、海外でも会社の役に立てる仕事にチャレンジしたい。BEIへの訪問で改めてその思いを強くしました。
実現に向けて、英語は勉強中。会社の制度を利用し、対面で学ぶクラスを受講しています。前はオンラインでのクラスも受講していたのですが、やはり私はちゃんと顔と顔をあわせて会話をしながら進めていくことが向いているようです。
日本にいても、将来的に海外で働くとしても、人の話を聞いて、さまざまな角度から物事を見つめることこそ、私が変わらずに大事にしたい仕事の軸です。
働く1人1人の顔を思い浮かべ、自分自身を成長させながら、TB-GRの税務を一手に担う。この大きな役目をしっかりと全うしていきたいと思っています。
Column
国内・国外問わず、旅行が好きな有坂さん。訪れたことのない土地にいき、その土地ならではの雰囲気や文化、食を楽しむことで、とてもよいリフレッシュになり、その後の仕事もしっかり頑張ることができるのだとか。写真は昨年から今年にかけて、訪れた旅行先でのお写真です。
ただ、昨年9月に訪れたベトナム(写真左)で台風に見舞われ、「外出禁止令」がでてしまい、観光地を回ることができず十分楽しめなかったようです。
「いつかリベンジでまた行きたいと思います!」とのことでした。
取材を終えて|広報部より
TB-GR内15社の税務を担う有坂さんにお話をお聞きしました。税務というと、数字で判断するイメージが非常に強いですが、その根本には人がいると話し、常に働く人の考えや価値観に目を向ける有坂さん。グループ内でも尊敬と信頼を集める存在ですが、人に対する思いを聞き、胸が打たれました。TB-GRの経営理念にある行動指針の中でも「共創力」をまさに体現しています。また、TTS海外子会社移管プロジェクトでは、国による法律の違いに対峙しながらも、移管を完遂させる「突破力」も強く感じました。
大きな変化の途にあるTB-GR。今後も有坂さんの活躍が期待される場は増えるでしょう。柔軟さと推進力を併せ持つ有坂さんが、その時どのような解決策を導き出していくのか。私たちも視線を注ぎ、その成果を追いかけていきます。
東京貿易グループでは、さまざまなキャリアの機会があります。ぜひ一緒にはたらいてみませんか?お気軽にこちらからお問い合わせください。
Recruit 募集要項|東京貿易グループ / TOKYO BOEKI GROUP (tokyo-boeki.co.jp)
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