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東京貿易グループの未来の話をしよう!~液体水素サプライチェーンの構築~

東京貿易グループでは東京貿易グループの経営軸と未来について、社員と社長の坪内さんが、語り合う会を定期的に開催しています。
今回はTB グローバルテクノロジーズ㈱ (以下TBG)、水素事業開発室(以下HDO)の戸部さん、吉原さん、立作さん。液体水素ローディングアーム(以下LH2用LA)という、世界初の技術開発と事業展開、そして未来の脱炭素エネルギー社会について坪内さんと熱い思いを語ります。

左から水素事業開発室 戸部さん、   吉原さん、    立作さん

戸部さん(TBG HDO 室長):会社として液体水素ローディングアーム(以下LH2LA)の開発には2014年から携わっています。KHI(川崎重工株式会社)さんからお声がけをいただき、当時はTEN(東京貿易エンジニアリング)が開発の主導となっていました。そこからいろいろありまして、2022年の4月にHDOが立ち上がりました。お客さんに喜んでいただく製品を提供し安全な荷役を提供し会社として収益を上げ、そして脱炭素エネルギー社会の実現に貢献する、そして最終的には坪内さんのおっしゃるお客様だけでなく、従業員も幸せにすることを目指して挑んでいます、はい、すみません、だいぶ緊張しております。 * TENは2021年に東京貿易マシナリーと合併し、東京貿易グローバルテクノロジーとなりました。

和やかな雰囲気の坪内さんなのに

緊張気味の戸部さん。

坪内さん:何を緊張することがあるの?(笑)

 

・(カチコチぶりにみな笑)お二人はいかがですか?

 

吉原さん:私はローディングアームの設計開発をしております。 試験を実施するときにはセンサーや治具の手配を行って、自分で試験機を設計し実行します。LH2用LAについては今ちょうど試験機を設計している段階です。

 

立作さん:私は入社してまだ日が浅いのですが、この3か月間はLH2用LAがどういうものか一生懸命学んで、どこがコアなのかなんとなくわかってきたぐらい、でしょうか。日々、早期キャッチアップのプレッシャーを感じています笑。

坪内さん:TBGはLNGローディングアームが主力事業なので、水素用LNG開発は新規事業にあたります。既存事業と新規事業の両立はなかなか難しいと世間一般には考えられています。そこでいろいろと本を読んだんですが、そこに衝撃的な言葉がありました。曰く、既存と新規を一緒に追い求めると求められる組織、アラインメントが異なるので『新規は既存に潰される』というのです。理由としては既存事業というのはすでに出来上がっている事業だから、成功の鍵は効率化して、コスト削減を徹底し、同時に品質を上げる。そして会社の収益の柱だから失敗は許されない。新規は真逆。とにかく挑戦、実験、試行錯誤。うまくいくことを探すというより、うまくいかないルートを排除していく、それを繰り返して最終的にうまくいくルートにたどり着く。全然違います。

また新規と既存、という視点だけじゃなくて、液体水素市場の未来が不透明ということもあり、LH2用LAの開発は私も悩みました。ちょっと解説すると、カーボンニュートラルなエネルギー社会が到来するというのは確実で、その中で水素は重要な役割を果たすだろう、っていうところまではいい。でもどんな状態の水素なのか?気体?液体?アンモニア化合物(トルエン、e-メタン)? ここが論点の1つ目。欧州みたいにパイプラインでつながっているなら気体でもいいかもしれない。でも日本は多分水素を輸入するから、それなら、気体の1/800の体積にできる液体だろうな、とは思う。液体だと⁻253℃をキープしないといけないので、気体の水素を⁻253℃に下げるのにまたエネルギーを消費する、なんていう現象が発生してしまう。クリーンエネルギーを運ぶためにエネルギーを使うのはいいのか?ここが論点の2つ目。論点の3つ目はコスト。極低温荷役を実現するにも技術的ハードルは高い。つまりお金がかかる。それで運ばれた液体水素のコストも高くなるということ。高価なエネルギーを市場は受け入れるのか?というように、いろんなハードルがあって悩みました。

じゃあなぜ開発に着手したかというと、いままでLA製造では誰にも負けないという自負があり、また水素サプライチェーンを作るプロジェクトから声をかけていただいたことです。それでやってみようと一歩をふみだしました。

 

なるほど、未来を完全に知ることができない状況での決断は大変ですが、ビジネスとはそういう決断の連続なのですね。現場のみなさんはどうだったのでしょうか?

 

戸部さん:あ、でも旗をぽんと置いていただいた感覚です。一緒に旗を目指す仲間がいますし、HDOだけでなく、既存チームや経営陣も含めて、みんなの力が後ろにはありますので、あとは、もう最前線でこのHDOの仲間とプロジェクトの方々としゃかりきに旗をめざしていくだけかなと言う状況です!

 

・実績がのこせるかどうかがわからないのが新規事業開発ですが、世界初の技術開発にトライする経験ってそんなにないと思うんです。そのことについて考えをお聞かせください。

 

戸部さん:もう感謝、の一言ですね。過去60年、LA開発の知見を蓄積してきてくれた先人たちの努力をあったからこそLH2用LA開発の土俵に乗せてもらっている。豊かな社会に貢献するチャンスを与えていただいた会社に感謝です。またHDOには他社さんからの出向者がいますが、外部の方と一緒に働くことはほんとに刺激的で自分達が持っていない知恵や技術はすごいと感動しています。最終的には世界のお客様にありがとう、と感謝してもらいたい、と思って頑張っています。

 

吉原さん:私はものづくりが好きでこの会社を選んだんですが、今の仕事でそれが実現できてほんとにうれしい。『新しい構造を考えたんだけど、実際どう作ろう』と工場の詳しい人に聞いたりして、ここは溶接できないから、もっと間隔を広げなさいとか、こういう作り方をしたらできるよとアドバイス貰ったり、一緒に作り上げていくっていうのが凄く楽しいと思ってやっています。他社さんの技術者が今となりで仲間として働いているんですが、水素に関する知識がすごい!理解が深まるのを感じています。

 

立作さん:知らないことを解明していくのは、やっぱり面白いです。 7月に入社して全く知らない会社で新しいことを学ぶというのは刺激があり、自分が成長していると感じます。いろんな考えがあって、ノウハウがあって、そうか!っていうのが至る所から降ってくる。すごくありがたいです。一方でこのプロジェクトは会社の顔になると思うので成功させなきゃいけないと思ってます!でも、万が一、LH2用LA開発が行き詰っても、その技術自体は間違いなく他に生きてくる、と思います。

 

坪内さん:もちろん水素開発室には大いに期待しているわけだけど、でもさっきいったように、水素自体がどうなるかわからなくて、次に来るのは例えばアンモニアとかになったりするかもしれない。でも、この難題解決に向かってつけた開発力や育てた人材っていうのは、マーケットが求めるものが変わっても、絶対世界で戦えると思います。 そういう意味で財産を育んでいると思っています。

 

・東京貿易グループの経営理念にあたる「経営軸」についてなのですが、『全員経営の精神』の真髄って常に自分の限界を超えてベストを尽くすということなのではと私は思うんです。でもそれって常に意識してないとなかなかできませんよね。皆さんは自分の枠を超えるのに何か意識していることはありますか?

 

戸部さん:私は2つあります。自分は経営者としての視点が、全然足りないなと認識しています。相手の立場に立って考えるところも足りてない。今組織を任せて頂いてるんで、頑張ります。2つ目はこのミッションをクリアするのに技術者、営業、財務といろんな要素がありますがそれを統合して見れるようになる。今まで営業でしたので俯瞰的な視点は弱かったと思います。

 

吉原さん:自分の枠を超える・・・あんまり考えた事なかったんで難しいんですが、一言でいうとあきらめないということでしょうか。失敗してもめげないで諦めないで取り組むいうのは大事かな。行き詰っても基本的なところに一回立ち返ってみたり、教科書読んでみたり。ずっと考える。

 

立作さん:ずっと勉強すること。それは技術者としてやっていかなきゃいけないことで、自分の枠を超えることにつながるのかなと思います。それと、仕事に慣れないこと。仕事に慣れてきたっていうのは 自分の成長には結びついていない状態になってる。自分のできることをやっているだけということ。 そういう流れを感じた時はまた新しい勉強を始めることを意識しています。ただ、今はもう精一杯なんですけど笑。

 

・では最後の質問となりますけれども、東京貿易が100周年を迎える2047年ごろ、ご自分はどんな仕事をされていたらいいなと思いますか?

 

吉原さん:全然違うのを開発したりしてるんですかね?時代の流れもあるんで、宇宙とか?全然分からないですけども、何かしらものづくり携われていたらいいかなと思ってます。

 

立作さん:2047年はもうカーボンニュートラルが実現する直前なので、今この事業に携わっている以上、液体水素事業開発を成功させていたいなあ。

 

戸部さん:あと24年。私は60手前になっています。液体水素事業はグループ売上1兆円の一角を占めているといいです。それとここで得た経験を生かし、さらに新しい事業を生み出す人材になれていたらいいなと思います。 仲間や子供の世代が同じようないい経験にチャレンジできる環境を作りたいです。

 

坪内さん:液体水素の未来はわかりません。だけど可能性があるのだから、最大限チャレンジしていただきたい。皆さんが恵まれてるのは、全力で取り組んでいることが、今まで誰もしていなかったこと。成功したら皆さんが「やりました」っていえるし子供たちにあれはお父さんが作ったんだと胸を張って言える。既存の仕事やってる人も全力でやって働きがいもあるけど、その特典はない。よく私はHDOの仕事について人類初ですねってメールに書くんだけども、それだけのことにチャレンジしてもらってので、やはり成し遂げてもらいたい。簡単にはいかないと思うんだけど。かの発明王エジソンも『私は生涯失敗したことがない』と言ってます。『1万回うまくいかなかったことが分かったというだけで1つも失敗してない』って。そういう考え方で前向きにチャレンジしていただければいいんじゃないかなと思います。で、出来上った時には俺が作ったんだって誇る。 それが皆さんにとってもいいことだと思うし、また会社の後輩たちも先輩がそういうものを作ったんだと刺激され、じゃあ私は何を開発しようかなって思ったら面白い会社になってくるね。

 東京貿易グループは脱炭素社会に向けて液体水素の未来を追い求めます!

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