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社員インタビュー:インドネシアの地に立ち、海外展開の道を切り拓く

東京貿易グループにとって海外展開は重要な経営戦略のひとつ。既存事業の市場開拓、新規事業の立ち上げなど、様々な可能性を秘めています。特に東南アジアは注力すべき地域で、中でもインドネシアはその拠点となっています。

 

今回は、インドネシアに駐在し、様々な業務を担う小林陽祐さんにインタビューをしました。最前線に立ち、ゼロから道を切り拓いていく小林さんの仕事に迫ります。

この記事でわかること

・新人から任されるビジネスの大きさ

・鉄鋼商社での仕事とは

・東南アジアで成功するために必要なこと

・海外展開の最前線で働くとは

 

  • PROFILE

    小林 陽祐 Yosuke Kobayashi

    東京貿易マテリアル株式会社 インドネシア・ジャカルタ事務所 所長

    2009年入社後、原料部、資源・エネルギー部で輸入・輸出・三国間ビジネスを経験。2017年に鉄鋼部へ異動、輸出ビジネスに携わる。2019年に現職のインドネシア・ジャカルタ事務所 所長として赴任。インドネシアから東南アジアでの海外事業展開の最前線で活躍している。

東京貿易マテリアル株式会社 TML とは?

鉄鋼や資材、資源を主に取り扱う商社、東京貿易マテリアル株式会社(以下TML)。東京貿易ホールディングス株式会社の前身である「株式会社東京貿易商会」時代から続く鉄鋼取引などを引き継いだ事業を展開しています。

 

主な事業内容としては、鉄鋼製品の輸出取引や三国間取引、耐火物の製造・販売など。近年では、国際的な取引の拡大やAIやIoTを活用した新商品の開発といったデジタルソリューション事業にも注力し、事業拡大を推進しています。

ジャカルタ事務所エントランス

目次

・自分で見て、考え、足を動かす

・会社の代表として、ジャカルタへ

・自分がインドネシアにいる理由

・コラム|インドネシアのビジネスファッション

・取材を終えて|広報室が感じたこと

 

自分で見て、考え、足を動かす

価値観を変えたバックパッカーの旅

大学は法学部。大学院を卒業して多くの人が税理士になる環境で、私自身も税理士の道が選択肢にありました。そんな考えに変化があったのは、バックパッカーとして海外へ行った時のことでした。ゼミの先生から「海外を見ておきなさい」と常々言われ、休みには海外へ赴いていました。

 

旅の中で強烈に印象に残っているのは、アジア諸国。勤勉に働く人々、その熱気、街が発展する勢い。そのパワーに直に触れ、「これからアジアが間違いなく伸びる」と強く感じました。自分の興味が海の外へ向いていったのです。

1年の留年で見えてきたこと

バックパッカーの経験が影響し、修士論文は周りとはかなり違うものになりました。テーマは「タックス・ヘイブン対策税制について」でした。銀行への内定も決まっていたのですが、大学院の教授から「君は国内で働くよりも、海外を舞台にした仕事を探すべきだ。もう1年私の元で勉強しなさい」とアドバイスを受けました。

 

その言葉で1年間の留年を決心。これまでより視野を広く企業を見るようになりました。1年間の留年は、就職活動では大変な面もありましたが、その分多くの企業を見ることができたこと、自分自身も働くことに対しより深く考えることができたことは、振り返ると有意義な時間でした。

 

再び行った就職活動で主に見ていたのは鉄鋼商社。私が生まれ育った地域は鉄鋼関係の企業が多く、幼少期から身近に感じていたのも理由のひとつです。この2度目の就職活動の中で東京貿易との出会いがありました。中国やロシアでの鉄鋼事業を国交が結ばれていない時代から築いてきた「開拓者精神」に強く惹かれたのです。

 

 

数億規模の取引を任された新人時代

2009年4月、TMLに入社。原料部でキャリアをスタートし、その後資源・エネルギー部へ。輸入・輸出・三国間ビジネスに携わり、輸出と輸入両方の知識が一気につき、非常に勉強になりました。

 

驚いたのは、若手に任される仕事の幅と裁量の大きさでした。

当時、日本全体で電解金属マンガンの輸入が年間約3万トン前後。東京貿易は中国に合弁工場があり、商売のシェアを多く持っていました。その中で、私は年間7000~8000トンの取引を任されていました。

 

自分で商談をし、契約書を交わし、入金を確認する。大きな金額が動く仕事の流れを、一から十まで自分の足で動き身につけることができたのは、その後の仕事人生においてとても役立っています。

2017年10月に、鉄鋼部へ異動。これまでと仕事の流れが変わり、まるで違う会社に転職したような感覚でした。今までは、海外から材料や原料を買い付けてくる仕事。鉄鋼部では日本の質の高い鉄鋼を海外へ売るという仕事になりました。

 

私が担当した主な取引先は、韓国やニュージーランド、インドネシアなどの企業。特に韓国では新規の取引先も開拓。営業リストをつくり、現地に飛んで営業活動し、取引をとっていく仕事です。効率的に営業先を回るため、日曜に韓国に移動して、月曜の朝から韓国の企業を回り、土曜に帰国するという計画を実行したこともありました。

 

鉄鋼部で扱う製品は日本企業が作る鋼材なので、製品の品質に心配はありません。ですが、金額が大きいので売った金額を回収するリスクや、納品先の在庫管理が整備されていないことで取引が進まないケースもあるので、相手企業の財務分析をしたり、在庫表をこちらから作成し管理することで継続的な取引を行ったりと、先回りをして動く日々でした。

会社の代表として、ジャカルタへ

地道な行動の先につながること

東京貿易グループの重要な経営戦略として、海外展開により注力していく動きが高まってきた2010年、アジアの成長国であるインドネシアに拠点を置くこととなりました。数名の担当を経て、2019年に、私が赴任することとなりました。既存事業の市場開拓や、新規サプライヤーの開拓、新規事業の検討・調査など、業務は多岐に渡ります。

 

異国の地、自分たちにとってはまっさらな状態。そこで新しく事業をしていくのは簡単ではありません。だからこそ地道な行動を繰り返した先にしか、道はつながらない。私自身、これまでの仕事を通じてそう実感し、地道にやってきたからこそ、この地で自ら先頭に立って開拓していくことを任されたのだと思います。

 

最初は想像以上に苦労しました。赴任する前から分かってはいたことですが、ビジネスをインドネシアで形にするためには「現地に溶け込む」ことが非常に大事でした。現地に溶け込むには、大きく2つの壁があります。言葉の壁とコミュニティの壁です。

言葉の壁

ビジネスの場なので英語でもやりとりはするのですが、基本はインドネシア語が中心。通訳を介して会話をしていると、会話のテンポが悪くなりますし、自分が伝えたい事も、細かいニュアンスが伝わらないことが多い。結果、ビジネスの話もうまく進まないことが多いのです。お金があれば、資本力があればうまくいく、そういう話ではないということです。

 

さらに重要なのが、ビジネスのヒントは何気ない会話の中にこそ潜んでいるもの。現地の言葉でコミュニケーションをとることで相手からの信用も生まれ、より多くのヒントを得ることができます。

 

そのためにはインドネシア語の習得は必須だと、仕事前の1時間、オンラインでマンツーマンでインドネシア語の勉強を始めました。日常会話からはじまり、ビジネス会話、扱う商材に関する専門用語など・・・。その時々で必要なインドネシア語を習得していきました。

 

オンラインレッスンを受け2年を過ぎたあたりから、街を歩いていても周りの人たちが話していることが少しずつ分かってくるようになりました。そして今では、通訳を介せず、理解できるまでになりました。このことで、例えば工場で働いている人からも情報を得られるようになったりと、言葉の壁を超えた効果を確実に感じています。

コミュニティの壁

インドネシアという国は、コミュニティを大事にし、信頼できる関係性の中でビジネスを行っていく傾向があります。日本でいう「人脈」に近いかと思います。

 

やはり信頼関係を作る上では、英語ではなくインドネシア語で対等にコミュニケーションをとる必要を感じています。いかにキーパーソンとつながることができるか。いかに有用な情報を得ることができるか。これがビジネスを進める上で非常に重要で、時間をかけて築くしかありません。

 

インドネシアの文化、ビジネス習慣、人のつながり…。言葉も、考え方も、インドネシアに自分自身が溶け込むことで、ようやくスタートラインに立ったと言えます。

ビジネスシーンにはインドネシアの伝統衣装であるバティックを着用。オフィスの近くにいいお店があります

二つの壁を突破した成果「耐火レンガ」

現在も並行して様々なビジネスを行っていますが、まず結果がでているのは、中国の合弁会社がつくる「耐火レンガ」のインドネシアへの市場開拓です。

 

ここには、2つの壁が少しづつ突破できていることが影響しています。ひとつは私自身の語学力がついてきたことで、得られる情報の精度が高くなったこと。もうひとつは、鉄鋼業界に経験のある現地の人をスタッフとして招き入れ、共に活動していることです。

中国の合弁会社がつくる「耐火レンガ」の質は高く、価格面でも十分勝負できる製品です。相手のニーズをしっかり汲み取り、メリットのある提案を重ね、確かな実績をあげていきます。その後は、インドネシアを拠点に、東南アジア全域、そしてインドへとマーケットを拡大したいと考えています。

自分がインドネシアにいる理由

東京貿易グループ全体のインドネシア展開も担う

成長市場である東南アジア、その中でもとりわけ成長が期待されているインドネシアでのビジネス展開は、東京貿易グループの成長を考える上でも非常に重要です。

 

私自身はTMLに所属していますが、東京貿易グループ全体のインドネシアビジネス展開の最前線で役に立ちたい。インドネシアへ赴任した時から、その想いは変わりません。

 

だからこそ、私の元にはグループ各社から様々な相談が寄せられます。たとえば、2023年に、東京貿易グループになったTB播州電装株式会社。傘下には、PT.Banshu Electric Indonesia(以下BEI)というインドネシア現地パートナーと事業を行っている会社があるのですが、グループに迎え入れる準備段階で私に調査依頼がきました。二輪や建機市場の市場調査や、今後BEIと共にどのようにTBグループを発展させることが出来るかの検討など、インドネシア現地からプロジェクトの成功の一翼を担いました。

現在もBEIの仲間と協力しながら、インドネシアでのビジネス展開を考えているところです。

海外展開は、可能性の塊

インドネシアに来て、4年が経過しました。現在進行中のプロジェクトを多数抱える中、もちろん大変なこともあります。その中で、モチベーションの源となっているのは「自分が会社の看板を背負っている」という思いです。東京貿易グループ全体の期待と未来を背負って、インドネシアの最前線にいる。そう考えると、前へ進むしかありません。

 

創業から75年を超えた東京貿易グループ。この歴史のもと築いてきたビジネスは、素晴らしいものがたくさんあり、海外でもきっと必要とされ、世界中の人の暮らしに役立つビジネスになっていくと信じています。

 

先輩たちが広げた世界への道を、今度は自分が先頭に立って進んでいく。無数の可能性を形にしながら、未来につながる新たな道を切り拓いていきたいと思っています。

Column:インドネシアのビジネスファッション

「バティック」とは、ろうで模様を描いて染めた生地で、インドネシアの民族衣装として使われていますが、ビジネスシーンでは長袖が「正装」とされ、ネクタイ着用と同等に扱われます。これを着ているとインドネシアの方から好印象で、ビジネスの話もスムーズに進みます。

 

私も何枚か持っていて、シーンにあわせてどれを着るか選んでいます。たとえば、中国系の方と話をする時には縁起が良いと好まれる赤系のバティックを着用したり、重要な商談の時にはシルクの高級なものを着用したり、大事なビジネスのツールでもあります。オフィスの近くにはお気に入りのショップがあるので、店員の方に相談しながらバティックを選ぶのも楽しい時間です。

▲バティック専門店にて。サラサラとしていて快適な着心地です

▲色とりどりのバティック。バティックは世界無形文化遺産に認定されています

取材を終えて|広報室より

今回はインドネシアの最前線で海外展開の様々な可能性を開拓する小林さんにお話をお聞きしました。

 

原料や資材の輸入ビジネス、鉄鋼製品の輸出ビジネス、そしてインドネシアでの海外事業展開。一見華やかに見える海外を舞台にした仕事ですが、成功させるには地道な行動と努力があることを改めて感じました。今はインドネシアの現地に溶け込み、インドネシアを理解することに力点を置き、「誰よりもインドネシアに詳しくなりたい」と語る小林さん。ここからどんな新たな展開が生まれるのか、とても楽しみです。

 

東京貿易グループでは、さまざまなキャリアの機会があります。ぜひ一緒にはたらいてみませんか?お気軽にこちらからお問い合わせください。

Recruit 募集要項|東京貿易グループ / TOKYO BOEKI GROUP (tokyo-boeki.co.jp)

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