• ALL一覧
  • モノづくりの未来を考える(株)…

モノづくりの未来を考える
(株)LIGHTz 代表取締役CEO 乙部信吾さん×東京貿易ホールディングス(株)代表取締役社長 坪内秀介 対談(前編)

こんにちは。2024年4月、東京貿易ホールディングス株式会社は株式会社LIGHTzと戦略的資本提携契約を締結しました。

東京貿易ホールディングス株式会社 株式会社LIGHTzとの資本業務提携について | 東京貿易ホールディングス株式会社のプレスリリース (prtimes.jp)

今回は株式会社LIGHTz 代表取締役CEOであられる乙部信吾さんと東京貿易ホールディングス株式会社 代表取締役社長 坪内秀介との対談をお届けします。モノづくりへの想い、ベンチャー立ち上げへの考え、次世代社会に貢献する経営者としてのビジョンなどを伺いました。 

  • PROFILE

    株式会社LIGHTz 代表取締役CEO     乙部信吾さん

    製造業の熟達者の思考やノウハウを可視化する「汎知化(はんちか)®」技術と最適な情報を導き出す「BrainModel(ブレインモデル)®」テクノロジーと呼ばれる言語ネットワークを用いて様々なソリューション開発、提供。製造業が抱えている人手不足・技能継承等の課題に取り組んでいらっしゃいます。

坪内さん:LIGHTzは『モノづくり』に焦点をあて、製造業が直面する課題に取り組んでおられますが、乙部さんが『モノづくり』に貢献していこうと考えられたのはどういう経緯からなのでしょうか?

 

乙部さん:私はもともと理系と文系、どちらのテストの点が高いかといわれると、圧倒的に文系の科目の方が高かったです。でも、ものを作ることは昔から大好き。
変わっているとよくいわれるのですがもともとTVマンを志望していました。というのも、故郷の岩手で初めてフジテレビによる、当時のトレンディドラマが放送され、そのクオリティの高さにびっくり。画像の美しさはもちろん、ストーリーの巧みさ、音楽、効果的な演出。非常に感動して、こんな風に人を感動させることができるモノづくりがしたい、と思うようになりました。
そんな刺激を受けながらも当時考えていたのは、理系は苦手だけど、苦手なものにこそ挑戦したほうがいいということ。それで理系の勉強を始めてみたら、これがすごく面白い。はまって勉強を続けていくうちに大学は機械工学科を選び、新卒の就職先は大手の製造業の会社となり、当初の夢だったTV局とは全く関係ない道に進むことになりました。

ちなみにそのドラマは『東京ラブストーリー』だそう。 「そのドラマ覚えていますよ。」と坪内さん。

坪内さん:文系から理系への華麗なる転身ですね。なかなかできることではないと思います。で、その大手の会社を辞められて、モノづくりに特化したコンサルティング会社を創業されたのには何かきっかけがあるのですか?

 

乙部さん:もともとTV局志望で映像を作ることも含め、『ものづくり』は好きだったのですが、今振り返ると、まだまだ考えが浅かったなと思うこともあります。
それでも、最初の会社で、いろいろな人たちと出会い、鍛えていただいたおかげで、ものづくりに対する姿勢や技術に関して自分なりに考えがまとまったと思います。
直接の起業のきっかけとなったのは東日本大震災でしょうか。震災でモノづくりの技術がなくなりかけている、職がなくなって困っている皆さんを見て、「自分の手で何かしたい」、と思ったのが起業のきっかけでした。
当時働いていた会社で学んだことを私なりに「社会」にお返しすることで、その会社にも恩返ししたいと思ったのです。
そして勤めていた会社に「辞める」といったら、「いや、それなら会社に残って会社に恩返ししろよ」と冗談でいわれましたが快く送り出してもらえたので感謝しかありません。

 

坪内さん:『モノづくり』に対して考えがまとまった、とのことですが、乙部さんにとっての『モノづくり』とは何ですか?

 

乙部さん:難しいのですが、『モノづくり』って総合力のアートだと思っていて。
例えば製造に100人関わっているとして、99人が完璧な仕事をしていたとしても、最後の1人の仕事がずさんだと崩れる、とても繊細でもろいものなんです。だから、関わる人すべての理解と協力が必要で、ひとつの製造に関する哲学や思考について、各人がそれぞれの持つ力を集結するというか、モノづくりは団体戦だと思います。繊細で大胆、そして総合力、チームで達成する尊いものですね

坪内さん:なるほど、私は商社の営業出身で、私自身、モノづくりに直接関わったことはないのですが、以前社長をしていたTB グローバルテクノロジーズ株式会社という会社はローディングアームを製造する部門がありました。
部下のやっていることを理解するのに、現場で作業を見たり、話を聞いたり、またその製品をお客様に納品したりするのですが、その時、『モノづくりって大変だ』と実感しました。

製造にはたくさんの工程があります。その1つひとつの工程で完璧を期さないといけない。寸法、強度、圧力、溶接、組み立てなどチェックすべき項目は山のようにあります。
それを工程ごとに完璧をつみあげていってやっと完成品が出来上がる。しかし、1つのミスが欠陥品につながります。お客様にしてみれば、良品が納品されるのは当たりまえで、『いやミスをしたのはこの1か所だけなんです』、なんていう言い訳は通用しない世界です。すべてが完璧な状態で価値が生まれるストイックな世界ですよね。

 

乙部さん:その通りなのです。共感いただけてうれしいです。

 

坪内さん:東京貿易グループは「事業開発型商社グループ」を目指していて、単なる仲介業ではなく、顧客への付加価値を高める必要性からグループの中に製造業を取り込んできた歴史があります。
そういった理由で既存事業の中に製造部門を持つ会社があるのですが、その部門の強みは何なのかというのは、内部にいてはなかなかわからないです。
現場には暗黙知というのがあって言語化が難しい。また自分たちのやり方がベストなのかというのもわからない。さらに現場では脈々と築いてきたものがあり、中にいるとそれに疑問を持つというのは難しいことだと思います。
そこにLIGHTzさんのように、製造現場のいろんなケースを扱ってきて知見があり、分析・アドバイスしてくれるサービスはとてもありがたいです。
またグループの経営戦略として、顧客に最大の価値を提供するために、これからも製造業の会社に仲間に入っていただく可能性もあります。去年は播州電装株式会社(現TB播州電装株式会社、以下BEE)という会社を仲間に迎え入れたのですが、ワイヤーハーネスの製造に関する技術や製造の知識がグループにはまったくありませんでした。
戦略上、魅力的な会社に仲間に入っていただくかどうかを決定する際に経営者としては「わからないけどまあいいか」ではいけないわけです。その時にLIGHTzさんの力を借りて、彼らの仕事をしっかり理解できたのはとても良かったです。

 

乙部さん:そういっていただけてうれしいです。ありがたいことに、たくさんコンサルティングの依頼を受けるようになってきたのですが、こちらのキャパシティのこともあり、どの依頼を受ける、受けないかの基準が私の中にはあります。
それは自分たちがその会社のやっていることや現場を好きになれるかどうか、ということなのです。依頼を受ける際には、モノづくりへの思い、その会社にどんな歴史があるのか、現場で働く人の熱意など、生意気かもしれませんが、そういうものが心に響かないとお仕事は受けないようにしています。

 

坪内さん:え、そうなのですか?(笑)では最初、BEEの製造部門のデューデリジェンスの依頼を受けていただいた時はどういうお気持ちだったのでしょう?

後編につづきます)

 

広報部より 

新進気鋭のアントレプレナーとの対談に坪内さんは楽しさが止まらない様子。乙部さんのお話にうんうんとうなずいたり、え、意外、という表情をしたり。

思わぬ意見の一致に破顔。

ほめていただいて照れる。

うーん、と考え込むことも。

  • ALL一覧
  • モノづくりの未来を考える(株)…