社員インタビュー:国を越え、時代を超えてガス設備の現場で貫く信念
ガス設備の現場では、判断を先送りすることはできません。設備が止まれば供給は滞り、人の暮らしに影響が及びます。その場で答えを出すことが、現場に立つ人間には求められます。
今回ご紹介するのは、東京貿易メカニクス(TMX)で三十年近くにわたり、国内外のガス設備の現場を支えてきた技術者です。台湾をはじめとする海外の現場、そして現在は組織を率いる立場として、現場と人の安全に向き合い続けています。
これまでどのような判断を重ね、どんな思いで現場に立ち続けてきたのか。その歩みをたどりながら、ガス設備の現場で貫いてきた仕事の姿勢をひもといていきます。
目次
・現場で判断し続ける三十年
・国を越えても揺るがない技術
・変わる業界で、変わらない信念を持つ
・コラム|愛犬の写真を見る時間
・取材を終えて|グループ広報部より
現場で判断し続ける三十年
呼ばれた以上、答えを出す
この仕事に携わり、気づけば三十年近くになる。現場に出て、設備に向き合う日々を、何百回、何千回と重ねてきた。
LPGをはじめとするガス機器のメンテナンスといっても、その内容はさまざまだ。ガスが出ない、圧力が安定しない、機器が思うように動かない。トラブルが起きた現場に向かい、原因を一つずつ切り分け、元の状態に戻していく。呼ばれた以上、分からないまま帰ることはできない。
「自分が行くからには、直さないと意味がないですから。」
不具合を解決しなければ、その現場は止まったままだ。ガスを供給する企業や、使う人の暮らしに、影響が及ぶこともある。
道具を広げ、装置を見て、音や感触を確かめる。何が起きているのかを突き止め、正常な状態に戻す。
現場が変わっても、条件が違っても、基準は同じだ。直って当たり前。
自分が引き受けた仕事を、最後までやり切る。その考えは、今も変わらない。
判断の軸は、積み重ねの中にある
この分野の仕事に就いた当初は、特別な知識があったわけではなかった。ただ、初めて機械工具を使ってモノを組み立てていく姿を、間近で目にした。
「なんだ、この世界は。」
バラバラだった部品が組み合わさり、ひとつのモノができていく。目の前で一つにつながっていく感覚に、思わず引き込まれた。
「自分も早く技術を身に付けたい。」
そう思って、仕事に夢中になった。お客さんから声がかかれば、まずは状況を確認するために現場へ向かう。その意識は、特別なものではなく、当たり前として自分の中に根づいていった。
そうした仕事観を持って、次の舞台に選んだのがTMXだった。当時のTMXは、社員数もまだ十数人で、まさにこれから会社をつくっていく段階。サービスのあり方も、現場との向き合い方も、まだ決まった形はなかった。だからこそ、自分の信念を持って仕事ができる場所だと感じた。
「求められるのなら、思う存分やってやろうと決心したんです。」
現場で起こっていることに向き合い、何ができるかを考え、最善を尽くす。その姿勢は、自分が大切にしてきた仕事の軸と、自然に重なっていた。
こうして、TMXでの歩みが始まった。
国を越えても揺るがない技術
台湾の現場へ。誰も直せなかった設備を直すために
TMXに入社して以来、数々の現場を経験してきた。トラブル対応や判断が求められる案件に向き合う中で、いつしか難しい現場では、自然と名前が挙がる存在になっていた。
そんなある日、上司から声がかかる。
「台湾の現場に行ってきてくれないか。」
訪れたことのない土地。現地に向かうのは自分ひとりだった。設備の状況は事前にはほとんど分からない。それでも出発までに、想定できる準備はすべて整えた。必要になりそうな工具や部品を洗い出し、現地で代替がきかないものは持ち込む。
「あらゆる場合に対応できるように、それだけは考えていました。」
現地に着き、設備を開けた瞬間、その判断は正しかったと同時に、これから取り組む作業が簡単には終わらないことも分かった。設備の内部は想像以上に傷み、本来外せるはずの部品は焼き付いて動かない。すでに複数の業者が入っていたが、不具合は解消されず、ガスの供給は止まったまま時間が経っていた。
装置を前に、一つずつ状態を確認していく。図面や説明だけでは足りない。触れ、音を聞き、動きを確かめながら、異常の切り分けを進めた。
しかし、作業の途中で、必要な部品が現地にないことが分かる。
「これがないとどうにもならない」。
身振り手振りで状況を伝え、紙に絵を描いて、必死に説明した。
ようやく、現地スタッフの1人が理解し、街中の小さな工具店を案内してくれた。棚の中から、探していた道具を見つける。
修復への道筋が見えた。あとは、やるべきことをやるだけだった。
世界のどこでも、通用するという確信
道具がそろうと、作業は一気に進んだ。焼き付いた部分を慎重に整え、部品を組み直す。一つずつ確認を重ねながら、装置を元の状態へ戻していった。
動作確認を行い、圧力の変化を見極める。問題はない。止まっていた設備が、静かに動き出した。
すると、周囲にいた現地スタッフから、自然と拍手が起こった。誰も修理できず、何日も止まり続けていた設備が、ようやく復旧した瞬間だった。
だが、その反応を特別なものとして受け取ることはなかった。
「私が行くからには、直して当たり前ですから。」
そう言って、視線は最後まで装置に向けられていた。
その後も、台湾に限らず、タイやシンガポールなど、海外の現場に足を運んだ。言葉や環境は違っても、目の前にある装置は変わらない。装置を見て、状態を確かめ、原因を切り分け、直す。日本で積み重ねてきたそのやり方は、海外でも揺らぐことはなかった。
「現場に行ったら、自分の仕事を全うする。それだけです。」
自分が続けてきた仕事は、世界のどこでも通用する。その実感が、確かな手応えとして残っていった。
変わる業界で、変わらない信念を持つ
安全を守る、組織を守る
長く現場に立ち続ける中で、見る範囲は自然と広がっていった。装置や作業だけでなく、現場全体の流れや、人の動きにも目が向くようになった。
現在は、組織のマネージャーとして現場を束ねている。自分一人が無事に仕事を終えればいい立場ではない。社員一人ひとりが、どんな状態で現場に立っているのか。そこまで含めて、責任を持つ立場だ。
高圧ガスを扱う現場では、ほんの小さな判断ミスが事故につながる。だからこそ、日々の現場では「手順が守られているか」を何より重視している。決められた手順を一つずつ確認し、無理のない段取りで作業を進めれば、安全に仕事を終えることができる。
誰かの帰りが遅くなれば、必ず状況を確認する。作業が立て込んでいれば、無理をしていないか声をかける。経験や気合いに任せて進めることは、良しとしない。
「ちゃんと手順を守ってやれば、事故を起こさずにやるべきことを全うできます。だからこそ、その前提を組織として崩さないことが、今の自分の一番の仕事だと思っています。」
誇りを積み重ねていく
エネルギーを取り巻く環境は、今、大きく変化している。現場に立っていると、エネルギー転換を前提とした設備対応が増え、海外案件を含め、仕事のフィールドが広がっていることを実感する。
「エネルギー業界は大きく変わっています。ただ、扱うエネルギーの種類や設備の形が変わっても、設備を安全に動かし、人の暮らしを支える仕事の本質は変わりません。」
装置と向き合い、技術でインフラの安全を守る。その積み重ねが、次の時代へとつながっていく。
「何を扱うかは変わっても、設備をきちんと見て、最後まで責任を持つ。それができる仕事は、これからも必要とされ続けると思っています。」
経験を重ねるほどに、仕事の意味と誇りは深まっていく。その信念を胸に、次の世代へとつなぐ未来を見据えている。
取材を終えて|グループ広報部より
今回の取材で最も印象に残ったのは、仕事に向き合う姿勢と信念が、三十年という時間を経てもなお、色あせていないことでした。
現場に呼ばれれば、装置と向き合い、判断し、最後までやり切る。それを特別なこととして語るのではなく、「当たり前の仕事」として淡々と続けてきたその歩みは、東京貿易グループが大切にしてきた、「社会や顧客の課題に誠実に向き合う姿勢」と重なります。
高圧ガスという責任の重い分野において、その当たり前を守り続け、次の世代へと手渡していく。この姿勢を体現する人が現場を支え、組織を導いていく。私たち広報部も、こうした一人ひとりの思いを丁寧に紡いでいきたいと思います。
東京貿易グループでは、さまざまなキャリアの機会があります。ぜひ一緒にはたらいてみませんか?お気軽にこちらからお問い合わせください。
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