• ALL一覧
  • 次世代につなぐバトン:山口大学…

次世代につなぐバトン:山口大学 小川教授x坪内社長 対談(後編)

こんにちは!東京貿易ホールディングス(株)、広報担当です。

今回は弊社代表取締役 坪内秀介と国立大学法人 山口大学 国際総合科学部 小川明子教授の対談、後編をお送りいたします。ではどうぞ!

前編はこちら→ 次世代につなぐバトン:山口大学 小川教授x坪内社長 対談(前編) | TOMAS PALETTE – 東京貿易グループ (tokyo-boeki.co.jp)

 

■就職活動とは―プロフェッショナリズムと自己実現の狭間で

 

小川先生:今の就職活動はかなりシステマティックに進みます。いつまでに何をして、次はこれをして、というのが決まっているのでそれを私たちもフォローする体制をとっています。学生側もいろいろ惑わされて、間違ったことを考えがちです(笑)。学生の中には「夢をかなえるために就職する」っていう人もいるのですが、「企業では働いて給料をいただくのだから、まず最初はどう会社の役に立つか考えなさい」、といってるんです。別に奴隷のように働けっていうのではないです。ただサッカー部に新人が入った時と一緒。最初にやらなきゃいけないのはコートの整備だったり、ボール磨きじゃない?と。それをしないで、僕の夢はサッカー日本一になるっていっても誰も聞いてくれませんよって。ですので面接のアドバイスでは、コート慣らしから始めたいんでよろしくお願いしますって言える人になりなさいって言っております。(笑)

 

坪内さん:新人のころは、もう間違いなく右も左もわかりませんから。それが当り前です。うちの創業者に、入社式で聞かれたことがありました。「学生とプロの違いはわかるか?」 私がわかりません、と答えたら、「学生はお金を払って勉強する、お金払うから『お客さん』なんだ。でも今日からあなたはお金を稼ぐ方だから『プロ』なんだ。」というんですね。できないなりにプロの自覚をもって仕事に当たれ、といわれたのを覚えています。先輩方のようにできないのは仕方ない。できることを誠意をもって一生懸命やる。夢はしっかり持てばいいし、どこを自分は目指すんだという指針をもって進んでいけばいい。ただ先生がおっしゃるように、やっぱり第一歩はどうするの?となるとやっぱりできることを一生懸命やらないといけないねって思います。

 

小川先生:就職支援をしていると、しっかりしたサークル・部活動に中高大学どこかのタイミングで属していると上下関係や、チームの心意気だとかいいものを身に着けているなあと思う学生は多いですね。個人の努力も大事だけどチームになったときの力を信じる、というのでしょうか。企業という組織に入っても理解が早いような気がしています。

 

坪内さん:なるほど。やらされ仕事ってよく言いますけど。自分で考えたのではない、他人の指示で動く仕事では、力はでないですね。組織の中で何が自分に求められているのかもしっかり考えられるといいですね。私の場合、卒業のころよく読んでいた歴史小説「竜馬が行く」の中のセリフ。「人は事を成すために生まれてきた」という言葉に感銘を受けた、ということ、また先に社会人になった友達から「商社は自分の裁量でできる仕事が多くて楽しいぞ」といわれて、自分は「商社に就職するんだ!」と強く思ったことがどういう就職をしたいか考えるきっかけとなりました。東京貿易は当時、世界中に鉄を輸出し、当時の共産圏、大手商社がなかなか行かない国で商圏を築き、まさに世界を切り開くイメージだったのです。先生は新卒で住友商事さんに入社されたんですよね?

 

小川先生:そうなんです。鉄鉱石や石炭の輸入、それこそ御社の祖業である貿易に従事していました。鉄の貿易事務にかかわっていましたので、「東京貿易さんと船に荷物を合積みです」など聞いていました。その頃から東京貿易さんのことは存じていますよ!

 

坪内さん:それは光栄です!自分は結構、そんな風に限られた情報で就職を決めたなあ、と思うのですが今の学生さんはものすごい情報が溢れているので選択もかえって迷ってしまうことがあるのでしょうか?

 

小川先生: 情報量はかなり多いですが・・・多分、社長が就活生のころより本当に自分が必要な情報を探すのが大変なんだと思います。例えば、社長は当時は採用特集の雑誌を見て一生懸命見て、自分はどこが合うのか、どこに行きたいかと検討されていますよね。今は例えば、企業人気ランキング!などメディアでセンセーショナルに出る。そうすると自分が行きたいかではなく、他の人が言ってることが気になってしまうのです。
でも最終的には1社にしか就職できないので。大量の情報に惑わされるな、というのも難しいですが・・・。自分らしさをしっかり持つことが最終的には大事ですね。

 

 

 

学生さんが参加した野球大会にて、ぱちり。当日行けなかった先生のユニフォーム77番も一緒です。

■入社後の育成

・東京貿易グループでは新入社員が入社後、成長していけるようなプログラムを準備していますか?

 

坪内さん:東京貿易グループは2024年度から新しい中期経営計画を実行していくのですが、その中でも人材育成は重点的に取り組んでいきます。企業は結局そこではたらく人の器以上には大きくなれませんから。新卒社員についてはグループ合同新入社員研修(3週間)、各社での新入社員研修、新入社員フォローアップ研修(1年目の秋~冬頃に2日間)、2年目フォローアップ研修(2年目の秋~冬頃に2日間)、3年目フォローアップ研修(3年目の秋~冬頃に2日間)と中・長期にわたって成長を支えていきます。これに加えてもちろん実務に関する教育・訓練もあるので結構鍛えられると思います。

 

小川先生:私はどれくらいトレーニングするかで、プレイヤーとして試合に出られるのか、ずっとベンチなのかが決まってくると思うんです。また同じトレーニングをしても、どういう意識で取り組んでいくかで、スタメンになれるかどうかが決まってくる。東京貿易グループに限らず、企業の皆様には入社したての2-300万円プレーヤーをそれこそ1億円プレイヤーになれるように育てていただきたい。(笑)人間力を磨いていただきたいなあと思っています。

私たちの時代は「ハングリー精神」など言われ、お給料やポジションが上がることを目指していた時代でもありますが、現代は社会がそこそこに豊かでそれが目的でない人もいます。そういう人たちが「面白い」と目を輝かせて仕事に取り組む、そういうスイッチを押せるような鍛え方をしていただけるとその人の人生は輝くような気がします。

 

坪内さん:(笑)そんなに思ってもらえる先生の学生は幸せですね。先ほども言いましたけど同じ仕事をするにも、心がけで成長の深さと速さが違いますね。試練があってこそ、乗り越えたときの喜びはたとえようがありません。でも困難を乗り越える、その「やる気」を引き出すのは何か。それはもう研修や職場環境の整備だけでなくその人の感じる「きっかけ」や「縁」もとても大事。

たまたま関わった仕事先の人がとても尊敬できる、とか、一緒に働く同僚がかっこよくて自分も頑張るとか、いろんな変数があるので、会社としてはいろいろな機会を用意したいですよね。新入社員だけでなく若い世代の人に意見を聞きながら、どういう会社にしていくのがいいのかなと一緒に進めていきたいと思います。

 

小川先生:みんなで話し合っていろいろ考えていますよっていうところ、素晴らしい。結論が一個しかない会社は働きにくいんじゃないかなって思うんです。多様性の時代と言われていますが、みんなの意見を取り入れて、いろんな角度から検討してで最適解はないかもしれないけど、最適解に近いものを複数用意するというアプローチは大事なことと思います。

 

坪内さん:現在は非連続でさらにスピード感を持って世の中変わっています。そういう時代は過去の教訓だけに頼っていては生き抜けないです。自分たちで考えて、今の時代に適したものを作っていかないと。ですので自分たちで考えてもらう。もちろん修正をかけることはありますが、自主性重んじてやるっていうのはいいんじゃないかなと思ってるんです。

 

小川先生:企業が大変だなって思うのは、本来は利益を追求して会社大きくしてというのが存在目的っていうことがあると思うんですけど、それだけじゃなくて、例えば多様性だとか、SDGsとか、いろんな要素がたくさん絡み合っていますね。高度経済成長期だと「業績だけ上げていればいい」っていう時代だったのに、今は複雑です。

 

坪内さん:先生に言うのもおこがましいのですが、私は少し違う考えでいます。会社がなぜ存続できるのかっていうと、世の中から必要とされる商品だとかサービスを提供するからだと思うのです。それができないと過去どんなに立派な会社でも潰れていく。それしか作ってないんだったらもういらないよと、時代遅れで淘汰されてしまう。だから、いつの世も存在できる会社っていうのは、世の中の役に立ってる会社です。社会に対してどれだけ役に立ったかの結果が、どれだけ利益が出たかということだと思います。

悪いことをして儲けるわけじゃなくて、本当にお客様が必要なものを、そして他社が提供できないものを提供していく競争力があれば、高く評価していただける、買って頂けるわけです。 高く買っていただける価値のあるものをいかに作っていくのか?そうするとやっぱ頭を使って、東京貿易グループでしかできないサービス製品を生み出す。苦しいですが。でも、それで会社が儲かれば、次の設備投資もできるし、研究開発にお金を使うし、もちろん社員の給料も増やすことができるし、最終的には税金も払って社会を支えることもできます。

 

小川先生:その通りですね。そういえば私も学生に、結構毎日「頭を使って」って言っております。勉強することではなく。 情報なり知識なり、自分なりに取捨選択するのは全部自分。頭自体が分析機であり何かを生み出すのもそう。就職だけではなく、授業もゼミもみんなそうなんですけれども、頭を使いましょうっていってますね。今日は久しぶりに商社マンのお話を聞いて、大変刺激的、嬉しく思いました。

 

坪内さん:こちらこそ、ありがとうございました。給料を稼ぐためだけじゃなく、自分が作ったものが世の中の役に立つとか、ぜひそういうことを目指して皆さんには働いてもらいたいですよね。

 

お二人でぱちり。坪内さんはちょっと緊張気味。小川先生のTシャツは学生の皆さんとお揃いで作ったマラソンのユニフォームだそうです。「せっかくならYamaguchiだけじゃなくてUniversityまで入れてほしかった(笑)」とのこと。

  • ALL一覧
  • 次世代につなぐバトン:山口大学…