東京貿易グループの歴史１
創業者、松宮康夫。商社マンに。
創業者：松宮康夫
時は昭和15年（1940年）。東京貿易グループ創始者、松宮康夫は慶応大学を卒業します。就職は商社にと決めていました。海軍軍人だった父親が幼い頃からあるときはロンドン、ある時はニューヨークと世界中の寄港先から絵葉書を送ってくれて、それがミカン箱いっぱいにたまるほどでした。この絵葉書に刺激されて、幼心にも「大きくなったら必ず世界に飛び出す」と決心したのでした。それが卒業と同時に、商社へと結びついたのは、自然なことでした。
商社を選ぶことに迷いはありませんでしたが、どの商社かという段階で悩みました。最初、彼は三井物産と考えていました。当時「人間の三井、組織の三菱」といわれ、「自分の力を試したい」と考えていた彼にとって、三井の方があっているような気がします。当時、日本は盧溝橋事件が全面的な日中戦争に拡大し、昭和13年に発動された「国家総動員法」によって統制経済下にありました。その結果、物価の高騰、物資不足、闇物資、闇物価が横行し、街には失業者があふれ、経済は危機的な状況にありました。
そんな中で三菱商事は他社よりよい給料を提示してくれたこと、そして何より、自分の個人的な手腕を生かす場がたくさんあり、やりがいがありそうだと感じたそうです。
そんなわけで大学卒業後は三菱商事へ。商社マンとしての人生が始まったのです。
