社員インタビュー:31歳で部長に抜擢。世界に誇る品質を次世代へ
電化製品を使い、ガスを灯し、車や電車で移動する。私たちの便利な暮らしがあるのは、元を辿れば、海の向こうから燃料が届き、日本中に運ばれているからこそ。
タンカー船で運ばれてきた燃料を、陸上のプラントに移す「ローディングアーム」という装置を製造しているのが、TBグローバルテクノロジーズ(以下TBG)です。
今回お話を聞くのは、新潟県にあるTBG長岡工場品質保証部で31歳の若さで部長に抜擢された内藤 夏樹さん。ローディングアームの品質を守る責任とやりがいについてインタビューをしました。
この記事でわかること
・TBグローバルテクノロジーズについて
・国内圧倒的シェアを誇るローディングアーム
・ものづくりにおける品質保証という仕事
・インフラを支える仕事の醍醐味
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PROFILE
内藤 夏樹 Natsuki Naito
TBグローバルテクノロジーズ株式会社 品質保証部 部長
前身であるニイガタ・ローディング・システムズ株式会社に新卒入社。入社後は国内外のプロジェクトの品質管理や品質保証システム(QMS)の保守、購買先の品質管理など、品質保証に関する様々なキャリアを積む。2022年6月より品質保証部 部長に就任。品質保証に関する「情報共有の強化と仕組み化」をテーマに、全社への情報共有システムの導入を成功させる。
目次
・海を渡ってきた燃料を、陸上へ。エネルギーインフラを支える仕事
・技術の塊、ローディングアーム。その品質を確かなものにするために
・積み上げてきたローディングアームの品質を未来につなげる
・コラム|パワーの源
・取材を終えて|広報室より
海を渡ってきた燃料を、陸上へ。エネルギーインフラを支える仕事
初めて目にしたローディングアームに圧倒
私が入社したのは、TBGの前身となるニイガタ・ローディング・システムズ株式会社。「地元で働きたい」と就職先を探している中で出会い、地元での知名度も高く、地に足を付けて働くにはいいだろうと選びました。
入社後の研修期間中はまだまだ学生気分が抜けなかったのですが、衝撃を受けたのは、主力製品であるLNGのローディングアームの見学に行った時のことでした。
「でかい!」…初めて目の当たりにしたローディングアーム。液化天然ガス(LNG)を積んだ巨大なタンカーと連結された姿を目にして、その大きさに圧倒されました。
ローディングアームとは、タンカーで運ばれてきたLNGや原油などの資源燃料をプラントへ荷役する装置。資源燃料を安全な状態で運ぶため、高い技術力・精度が求められる製品です。
海の上で風や波に揺られ、時に大きく波打つタンカーに合わせて動くローディングアーム。このローディングアームが陸上のプラントと海上のタンカーとをつなぎ、LNGや原油などを移していく。「海外から運ばれた燃料が、こんな風に日本全国へ運ばれエネルギーインフラを支えている。これから自分が携わる仕事って、すごくかっこいいじゃないか!」と、胸が高鳴ったことを今でも覚えています。
品質保証という視点から、ものづくりに寄与する
入社後に配属されたのは品質保証部。最初の3年間は、製造現場でローディングアーム部品などの工程内検査に携わりました。製品に不具合や品質に問題がないか、定められた検査を行い報告する。まずは任された仕事を全うしようと日々の業務をこなしていました。
ターニングポイントとなったのは4年目のこと。ある日、部長に呼ばれ「個別プロジェクトの品質保証の担当者になってくれ」と言われました。
ローディングアームは完成まで数年を要する製品。会社の様々な部署のプロジェクト関係者とともに、納品先となるお客様と一緒に仕事を進めていきます。ここに私も入り、長い期間お客様と面と向かって接していく立場となったのです。
プロジェクトの担当者になることで、ローディングアームの製造から納品までの全体像が理解でき、実際に使うお客様の顔が見え、お客様の期待や要望がはっきりとわかるようになりました。それに応えるため「品質保証の面でできることは何か」と常に考えるようになり、仕事への向き合い方が大きく変化しました。
たとえば、「品質を維持したまま、生産工程を改善できるのではないか?」「目的が同一で重複している検査項目を効率的にまとめることができればリードタイムの短縮になるのではないか?」など、品質保証という視点を通した様々な提案を行うようになりました。
技術の塊、ローディングアーム。その品質を確かなものにするために
海に負けない。高い安全性と耐久性
TBGは様々な用途に対応するローディングアームを製造していますが、中でもLNG用ローディングアームは国内シェア100%を誇ります。日本では主に、火力発電の燃料や、家庭で使用されるガスに使われるLNG。ローディングアームは、液化して保管するために-162℃まで冷やされたLNG※を海上のタンカー船から主にプラントへ運ぶためのハブ機能を果たしています。「巨大な動く配管」というとイメージがわくかもしれません。
※LNGは液化すると体積が約600分の1になり、気体よりも大量に輸送・保管ができます。
タンカー船は停泊した状態でも、常に波風によって揺れているので、ローディングアームもそれに合わせて動くことが必要です。巨大なのに、柔軟に動くアーム。ここに高い技術力と精度が求められます。
運ぶものは可燃性で危険。漏れた場合には、深刻な被害が予想されます。きわめて高い安全性が求められる上に、海上という環境下での高い気密性と耐久性も求められます。
安心安全に長期間稼働する必要があるからこそ、その品質を維持するために、私たち品質保証部の仕事があるのです。
品質保証が生み出しているのは、お客様からの信頼
ローディングアームが完成するまでには、材料調達、製造、各種検査、現地工事など様々な工程があります。この全ての工程において決められたルールが適切に実行されているか、基準を守れているか確かめるのが、私たち品質保証部の仕事です。
製造プロセスにおいては、検査に合格しない限り、次の工程に進むことはありません。そのため、製造を進めようという中でもストップをかけなくてはいけない場面もあります。
製造をストップさせるのは、嫌な場面ではあります。生産性を高めることが重要な企業にとって、真逆の動きをするわけですから。
しかし、不具合と向き合い続けることが「安心して使える品質」を生み出し、お客様からの信頼を勝ち取ってきたともいえます。
だからこそ、何かが起こった時に、どんな対処をしたのか。再発防止策は何か、結果はどうだったのか。長年培ってきた個々の経験を活かしたいと思うようになったのです。
そのチャンスが品質保証部の部長となった2022年6月に訪れます。
積み上げてきたローディングアームの品質を未来につなげる
予想外の部長就任は、挑戦の機会
2022年4月にリーダーとなりました。しかしそのわずか3ヶ月後、予想外の展開が起こります。それは「部長への打診」でした。
東京本社より話があると呼び出され、坪内社長から直々に「内藤くんに部長を任せたい」と話がありました。そんな打診がくるとは思ってもおらず、心の準備ができていなかった私は「3日間考えさせてください」と社長室を後にしました。
しかし、社長室から出て歩いていると、「まだ若い自分に期待してもらっているのに、このまま断ったら自分がつまらない。やりたかったことに挑戦するチャンスじゃないか」という考えが浮かんできました。事務所を一周して社長室へ戻り、「部長をやらせてください」と伝えたのです。
そして、2022年6月。品質保証部を率いる部長となりました。
あたためてきた思いを、部長就任とともに歩み出す
部長となったからには、実現したいことがありました。
それは、“情報共有の強化と仕組み化”です。
「製造工程での検査時に不良品が見つかる」、「お客さまから製品に対してクレームをいただく」。限りなくゼロにしたいと動いていますが、これはどうしても起こってしまうことです。
こういったことに対し、品質保証部としてすぐに対処を行い、再発防止策を練り、結果は報告書に保存してありました。ただし、全ての情報がうまく共有されているわけではありませんでした。
このバラバラになっている情報をもっと体系化して、必要な時に取り出せるようにできないか?という思いが以前から私の中にありました。
過去のやりとりをひらくと、様々なノウハウが眠っていて、「この情報をもっと早く知っておきたかった!」ということも多くありました。だからこそ、このバラバラに保存されたノウハウに品質保証部のみならず、営業や設計部門など、製造に関わる誰もがアクセスできるデータベースを作ることができれば、もっと大きな範囲で不具合やクレームを未然に防ぐことができ、この先TBGの財産となると確信があったのです。
ただし、それを実現するには、データベースは誰もが使いやすく触り心地の良いものでなくてはなりません。私が重視したのは、仮に担当者が変わっても継続して運用される、持続可能な仕組みを目指すことです。データベースはクラウドにしたいけれど、品質に関わる重要な情報が詰まっているからこそサーバーをどこに置くのか、得たい情報にスムーズにたどり着くための高い検索性や、サイトを開けば最新のトピックが表示されるアクティブなシステムするにはどうしたらいいか…など、検討することは多岐に渡りました。
このシステムの構築には、様々な方に尽力していただき、完成まで約2年の時間を費やしました。時間も労力も多大でしたが、原動力となったのは、「TBGの作るローディングアームの品質を、次世代につなげたい」という思いです。
今TBGで働く同僚はもちろん、まだ見ぬ未来の仲間のために、これまで積み重ねてきた品質保証の努力を、ものづくりの財産として活かせる場を作りたい。そんな意志があったからこそ、完成までたどり着くことができ、ようやくこの2024年4月に、完成した情報共有システムが稼働しはじめました。
今まさに動き出した情報共有システム。まずはしっかり活用してもらうべく、社内での広報活動をはじめたところです。私自身も積極的に広報活動に関わっており、その中で様々な意見やアイディアも寄せられて、手応えを感じています。
すべての次工程に安心を
人々の暮らしにはこれからもエネルギーは欠かせません。私たちのローディングアームも、お客様に安心して使い続けていただけるよう、より高い品質を追求していく必要があります。そのために、品質保証の仕事があり、積み重ねてきた品質を新たな世代につなぐため、生まれたばかりの情報共有システムを育てていきたいと思っています。
私たちのローディングアームが進化することは、世界各地でのエネルギーの安定供給により貢献すること。そしてその先にあるのは、より安心で豊か、かつ幸せに満ちた人々の暮らしです。
そんな未来を描きながら、一つ一つのものづくりの工程に心を配り、会社全体へ品質を高めるため行動を起こしていく。それが品質保証部を率いる者としての責務だと思っています。
Column:パワーの源
毎日の中で欠かせないルーティーンが「サウナ」。まるで歯磨きのように、1日の中にサウナに入る時間がなければ落ち着きません。サウナを目的にフィンランドに旅行したこともあるほど、サウナ好き。ほぼ毎日自宅近くのサウナに通って汗を流しています。仕事中は様々な情報に神経を張り巡らせているのですが、サウナでは情報から一切遮断され、自分の考えるべきことに集中できる。この時間が自分自身に必要なものになっています。
一推しのサウナは、新潟県柏崎市椎谷にある「SIIYA VILLAGE」。仲間が手掛けた古民家を改装したサウナで、私自身も工事を手伝いました。椎谷の海を一望でき、その雄大さに心身ともに浄化される空間です。サウナ通の方には、ぜひ一度このSIIYA VILLAGEを体験してもらいたいですね。
取材を終えて|広報室より
今回はTBGで品質保証部を率いる内藤さんにインタビューをしました。
品質保証という分野で情報共有システムの導入を実現させた内藤さん。品質を守るだけではなく、品質を次世代につなげていくという強い意志があるからこそ、難しいプロジェクトを実現できたのだと思います。
若きリーダーである内藤さん。彼が率いるTBG品質保証部の取り組みに、これからも期待です。
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