社員インタビュー:研究者 兼 YouTuber フロントランナーとして常に先へ
東京貿易テクノシステム(以下TTS)が提供する各種三次元測定機、ユーザー環境までを含めて統合構築した測定システムは、開発や製造などものづくりの様々な場で広く活用されています。
日々進化するものづくりの現場で使われるシステムだからこそ、最先端の技術をいかに取り入れるかは重要なテーマ。TTSは未来を見据え積極的に新しい技術の研究開発に取り組んでいます。
今回インタビューをするのは、2024年4月に新たに新設された先行開発チームに所属する川本貴志さん。AIなど独自に研究をすすめ、学会でも表彰を受ける等の実績を持ち、大学との共同研究を担当。会社の公式YouTubeチャンネルでの解説動画も配信。技術の分野のフロントランナーとして様々な取り組みを行う川本さんの姿に迫ります。
この記事でわかること
・TTSについて
・企業内における研究者としての役割
・技術を伝えるYouTuberについて
・研究者・技術者に必要な要素とは
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PROFILE
川本 貴志 Takashi Kawamoto
東京貿易テクノシステム株式会社
営業企画部 先行開発チーム
2012年4月新卒入社。技術部門で製品開発を担当した後、2020年より基礎研究に従事し、2024年度からは大学との共同研究も行う。公益社団法人 日本設計工学会 2023年度秋季大会では「物理エンジンを用いた眼鏡着装シミュレーション」で優秀発表賞を受賞。 現在はX線CTの研究にも取り組み、TTS公式YouTubeの配信も担当する。
目次
・個性を活かすから、強い集団が生まれる
・未来をひらくために、取り組んでいること
・これからの研究者・技術者に求められること
・コラム|真剣に取り組む自転車ロードレース
・取材を終えて|広報部より
個性を活かすから、強い集団が生まれる
ものづくりを支える「計測」の精鋭部隊TTS
TTSが開発するのは三次元測定機と測定データを処理するソフトウェア。自動車業界をはじめとするものづくりの現場で、それぞれの企業の課題・要望に対し、三次元測定機と自社開発のソフトウェアで解決してきました。
社員数は現在150名規模。全員の顔と名前が一致するサイズ感です。会社が決めたやり方に従って動くというより、ゴールは示されるけれど、走り方はそれぞれに任せる。そんな社風だと思います。
TTSよりも規模の大きい企業があるからこそ、大量生産の勝負は出来ません。ユーザーの求めることに独自の解決策を提示することでやってきた会社です。結果を出すには自分で考え、自律して仕事を進める必要があります。それぞれ独自の仕事のスタイルを持っており、個性的な人たちが多い。私もその1人です。
TTSへ入ることを決めた理由
学生時代は理工学部の大学院で人間工学・バイオメカニクスを専門に研究をしていました。
バイオメカニクスは、日本語でいうと「生体工学」。骨や筋肉の内部組織についての計測、分析を行う学問です。そして人間工学は、ヒトが自然で楽な動きで使用できる「物」や「環境」を設計しデザインする学問です。
2つの学問の研究において欠かせないのは「測る」こと。研究室で使用していた計測機に、TTSのベクトロンという三次元測定機がありました。
実際に研究でTTSの製品に触れ、機能性を理解していたこと。所属していた研究室とTTSの間に共同研究実績があったことの2つがTTSへの入社のきっかけになりました。
未来をひらくために、取り組んでいること
未来への投資としての研究
現在の業務の中心となっているのは、大学の先生と行っているX線CTの共同研究です。X線を対象物に照射し、非破壊で構造物の断面画像や3D立体画像を生成するためのものです。
他社がまだやっていない新しい技術を取り入れること。その可能性をひらくために、製品からあえて離れた場所で研究に没頭する人材を置く。それも未来への投資です。TTSの未来を切り拓くという重要なミッションを背負っているという覚悟を持って、日々取り組んでいます。
学会で受賞した研究
TTSで取り組んでいる次世代3D技術の一つにメタバースがあります。それを利用して開発に取り組んだのが、仮想空間で車の光源検査を行う「3D-MeasureVerse(メジャーバース)」というもの。
メタバースというとVRゴーグルのイメージがあるかと思います。実際、3D-MeasureVerseの主要機能も測定した形状をVR閲覧するという仕組みです。VRは従来のPCモニタよりもリアルに3D形状を表示できますが、逆にいうと“観せる”事しかできません。せっかくバーチャルをやるなら、車に触ったり、運転席に腰をかけてみたりという“体験”をしたいですよね。そうした未来形で必要となるのが物理演算のアルゴリズム、つまり物理エンジンとなります。現状は主にゲーム用途ですが、これを本格化する事でものづくりに活かすことができます。実際にモノを組み立てる必要がある試作の一部をバーチャル空間の中でもできるようになれば、開発製造のスピードも速まり、効率性も高まります。
その可能性を探るため、産業レベルで物理エンジンを使用する試みをしたのが、私が学会で発表した研究でした。この研究発表「物理エンジンを用いた眼鏡着装シミュレーション」は、公益社団法人 日本設計工学会 2023年度秋季大会において優秀発表賞を受賞しました。このように、自分の取り組む研究が企業としての先端技術の開発に活きることは、自分の研究に広がりを感じますし、何よりの喜びです。
新たな試み YouTube
学会で発表している研究を、もっと広く、多くの人へ。そう思ったのをきっかけに自分自身で提案したのが、YouTubeでの配信です。学会の発表ブースにいる聴講生は、研究に関わる人だけですし、私が発した言葉は残りません。でも、YouTubeであれば、時間も場所も制限なく届けることができます。
まずは知名度をあげるため、AIやメタバースなど注目度の高い技術解説を取り上げ、そこに研究発表を混ぜて紹介するスタイルで隔週で配信しています。出演はもちろん、撮影から編集まで全て自分で行っており、カメラの位置をどうすればよいか、背景には何を置くか、視聴者が見やすい編集の方法は…など、試行錯誤をしながら作り上げています。
特に「話す」「伝える」という部分において客観的に自分をみることができます。綺麗に話すだけではなく、共感されたり、面白いと思ってもらえる話し方にはテクニックも必要。有名なYouTuberや芸人さんの動画をみて研究しています。これまでの研究とは異なる難しさがありますが、非常に勉強になります。
YouTubeは世の中に対しての仕事であるところが好きですね。どのように受け取られるのか緊張感はありますが、会社の枠を超えた活動として、引き続き取り組んでいきたいと思います。
これからの研究者・技術者に求められること
チャンスを得るためには
変化の激しい今の時代において、過去に勉強したことはすぐに古くなっていきます。デジタル技術も進化する中、AIに置き換えられることも多いです。だからこそ、自分自身が主体的に考え、動き続ける事が求められます。
真面目に勉強し、社内外の人とコミュニケーションをとって多くの情報を把握するのは大前提。さらに成果を出すには、目の前の課題にのめり込んでいく主体性と集中力が必要だと思います。自分自身の意識や行動次第ですが、それさえあれば、TTSは技術や知識を伸ばせチャンスも多くある環境です。
今後の目標
目標は一生を通じて研究を続けていくこと。私は研究の内容に固執はしません。時代や自分の興味にあわせ、対象は変わっていくと思いますが、内容よりも、研究という行為、研究をしている自分自身が好きなのだと思います。
もちろん技術者としても、自分が携わった最新技術が、新たなビジネスにつながっていくことも大きな願いです。やはり企業で働く者として、しっかりと成果を出していきたいです。そして、YouTubeでも、研究・技術に対する自分の姿勢や生き様も含めて伝えていければと思いますし、それが後に続く若い人への刺激になればとても嬉しいです。
TTSの未来のためにも、世の中のためにも。責任をもって誰もやっていない尖ったことをやる。そんな信念のもと、フロントランナーとして走り続けていきたいと思います。
Column:真剣に取り組む自転車ロードレース
TTSに入ってから始めたのが自転車のロードレースです。レーシングチームに入り、本格的に取り組んでいます。脚力、心肺能力、ドライビングテクニックの維持と向上のためのトレーニングが不可欠で、朝3時半に起きてトレーニングをした後に出社することもありますし、土日はレースやトレーニングで埋まっています。
今年の目標は、ツールド沖縄市民200kmで20位以内に入ること。非常に高い目標ではありますが、日々必要なトレーニングを考え、積み重ねることで成し遂げたいと思っています。
取材を終えて|広報部より
今回はTTSの先行開発チームに属し、大学との共同研究を行い、学会での受賞歴やYouTuberとしての顔も持つ川本さんにインタビューをしました。
「誰もやったことのない尖ったことをやる」そう話す川本さん。挑戦心と知的好奇心を常に持ちながら前へ進んでいく姿を見て、川本さんが生み出すこれからの研究成果がますます楽しみになりました。
川本さんの動画はTTS公式 YouTubeチャンネルにて配信されておりますので、是非ご覧ください!
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