社員インタビュー:耐火物の可能性を広げ、次なる市場へ電炉市場・非鉄分野に挑む商社営業のあり方
カーボンニュートラルへの対応や電炉の活用拡大など、鉄鋼業界はいま大きな変革期を迎えています。そうしたなか、東京貿易マテリアル(以下、TML)も、これまで培ってきた強みを生かしながら、新たな市場へと歩みを進めています。
TMLが長年扱ってきたのは、製鉄所や電気炉などの高温設備を支える「耐火物」です。耐火物は、高温の鉄や熱から設備を守り、安定した生産を支える重要な材料です。TMLでは、定形耐火物・不定形耐火物の提案を通じて鉄鋼業界の生産現場を支えてきました。近年は、不定形耐火物の拡販や電炉への提案、さらに実績の少なかった非鉄分野の開拓にも力を入れ、次の事業の可能性を探っています。
その最前線で奮闘しているのが、ある一人の若手営業です。鉄鋼も耐火物も知らないところからスタートし、いまでは時に耐火物の枠を越えた商材まで探しながら、新たな提案を形にしています。
「自分が成長できる会社で働きたい」。そんな思いで飛び込んだ未知の世界で、何を学び、何を見つけたのか。新たな市場を切り拓く挑戦と、その先に見出した商社営業のあり方を追いました。
目次
・知らない世界の方が、面白そうだった
・新しい市場で、未来を築いていく
・「成長したい」の、その先へ
・取材を終えて|グループ広報部より
知らない世界の方が、面白そうだった
「成長できる場所」を探して、未知の業界へ
学生時代から、知らない世界に触れることを楽しんできた。大学では文理融合型の学部に進学し、英語や中国語などの語学に加え、数学や物理、デザインまで幅広く学んだ。文系・理系の枠にとらわれず、多様な分野に触れる学生生活を送った。
就職活動でも、軸に置いたのは「自分が成長できる環境かどうか」だった。企業を探すなかで、学生時代に学んだ中国語を生かせる仕事がないかと、求人サイトで「中国語」と検索。そこで偶然目に留まったのがTMLだった。
「中国語や英語を仕事で使いながら、語学力を伸ばしたいという思いがありました。それに、新しいことにも挑戦して、自分自身が成長できる会社に入りたいと思っていました。」
会社説明会や面接を通じて、働く人の雰囲気にも惹かれていった。加えて、40人弱という比較的コンパクトな組織だからこそ、若いうちから責任ある仕事を任せてもらえるのではないかという期待もあった。
一方で、TMLが扱う鉄鋼や耐火物については、ほとんど何も知らなかった。だが、未知の業界に飛び込むことにためらいはなかったという。
「知らないところの方が、むしろ楽しそうだなと思ったんです。」
成長したいという思いと、知らない世界への好奇心。その二つが、TMLへの扉を開いた。
知識ゼロから、現場でつかんだ営業の基本
若いうちから責任ある仕事を任せてもらいたい――。入社前に抱いていたその期待は、思いのほか早く現実になった。
入社後の半年間は、本社の営業管理室で発注や船積み、納入など商流の基礎を学び、2023年10月に千葉営業所へ配属。先輩への同行を経て、その年の冬には一人で顧客を訪問するようになった。
ところが、扱う耐火物は想像以上に専門性が高かった。種類もスペックも多く、専門用語が飛び交う商談では、会話についていくだけでも精いっぱいだった。
「右も左も分からなくて、お客様が言っていることさえ理解できないこともありました。調べて整理するだけでも時間がかかって、頭がパンク状態でした。」
専門書で調べ、先輩に聞く。さらに、実際の現場で設備や商材を見ることで、文字で覚えた知識が少しずつつながっていった。
「そもそも実物を見たことがないものもありました。現場で見て、『これがこういうものなんだ』と分かるようになっていきました。」
そして、千葉営業所の先輩たちから学んだのは、専門知識だけではない。
お客様の要望を聞くだけでなく、メーカー、倉庫、配送会社など、それぞれの立場にも目を配る。
「お客様だけでなく、メーカーや配送会社、倉庫など、関わるすべての方を見ながら、相手によって伝え方を変えて仕事を円滑に進める先輩がいて。そこはすごく学びになりましたし、自分もそうなりたいと思っています。」
相手に合わせて伝え方を変え、人と人をつないでいく。先輩たちの背中から、商社ならではの営業のあり方を学んだ。
新しい市場で、未来を築いていく
新たな成長領域、不定形耐火物へ
これまで培ってきた強みを土台に、TMLはいま、新たな市場へと歩みを進めている。その一つが「不定形耐火物」だ。耐火物には、レンガ状の「定形耐火物」と、粉状の材料を現場で施工する「不定形耐火物」がある。これまでTMLが強みを培ってきた定形耐火物に対し、不定形耐火物は耐火物マーケットで大きな割合を占める。さらに、カーボンニュートラルへの対応を背景に今後さらなる広がりが期待される電気炉でも、補修材として多く使われる。TMLでは、今後の事業成長につながる領域として、会社全体で拡販を進めている。
一方で、粉状であるため取り扱いには細かな配慮が必要で、競合も多い。市場を広げていくには、商材への理解と実績の積み重ねが欠かせない。
その足掛かりの一つとなったのが、グループ会社の日本アドバンスロール(JAR)との取り組みだ。
初めてJARを訪れたのは、入社1年目。営業所長に同行しながら、電気炉の設備やそこで使われる商材を学び、やがて自身が営業の主担当を任されるようになった。JARには、TMLがそれまで十分に扱ってこなかった商材も多い。必要なものがなければ、新たな仕入先から探す。その象徴的な一例が、「藁」だった。藁は、製造工程で溶鋼の保温用に使われる。
従来の供給元の方が高齢となり、今後の調達が難しくなる可能性が出ていたことから、新たな供給先を探すことに。候補を見つけると、山間の地域まで足を運んだ。
「藁を扱っている方を探して、実際にその方のところまで足を運んだんです。直接お会いしてお話をして、そこから仕入れにつなげました。」
耐火物という枠を越え、顧客が必要とするものを探し、供給できる相手とつなぐ。「まさに商社で働いている」と実感した仕事だったという。
JARでは、不定形耐火物の拡販でも成果が生まれた。使用量の多い2品目について、候補となる国内メーカーの工場を先輩と訪問。製造現場を確認したうえでJARに提案し、採用につなげた。
JARで実績をつくれたことは、その後の営業にも大きな意味を持った。実際の採用事例をもって話せるようになったことで、ほかの電気炉を持つ企業にも不定形耐火物を提案しやすくなった。そこで得た知識やノウハウも、次の提案へと生かされている。
グループ会社でつくった実績を、次の顧客へ。JARとの取り組みは、不定形耐火物をより幅広い市場へ広げる足掛かりとなっている。
非鉄分野で、提案を形に
さらに、TMLが新たな市場として開拓を進めているのが、非鉄分野だ。鉄鋼メーカーを主な顧客としてきたTMLにとって、まだ実績の少ない領域。その最前線の一つである亜鉛メーカーを担当し、新たな提案に挑んでいる。
着目したのは、現場で製造していた「プレキャストブロック」と呼ばれる大きなレンガ状の耐火物。乾燥のムラによる品質のばらつきや、製造にかかる手間が課題となっていた。そこで、中国の工場で製造した製品を輸入する方法を提案した。
しかし、最初のテスト品は、むしろ性能が高すぎた。「もう少し価格を抑えたい」という顧客の声を受け、今度は顧客とともに中国の製造工場へ足を運んだ。現地でメーカーを交えて求める品質やコストをすり合わせ、材質を見直して再提案。2度目のテストは成功し、受注につながった。
さらに、当初は他社との二社購買が予定されていたが、最終的にはTMLが全量を任されることになった。その決め手となったのが、何度も現場へ足を運び、要望に向き合ってきた姿勢だった。
「『TMLならしっかりと対応してくれそうだ』と言っていただいて。最終的には100%任せていただけることになりました。」
一度で答えを出すのではなく、顧客の声を聞き、メーカーとともによりよい形を探る。先輩たちから学んだ、人と人をつないで仕事を動かす営業が、新たな市場を切り拓く力へと変わり始めている。
「成長したい」の、その先へ
一番変わったのは、「視野」だった
「自分が成長できる環境で働きたい」。そう考えてTMLを選んだ入社当時、思い描いていたのは、中国語や英語の力を伸ばし、語彙や知識を増やしていくような成長だった。
実際、現在も会社の中国語レッスンを受け、語学力も高まっている。けれど、約3年の仕事を振り返ったとき、自身がそれ以上に大きく変わったと感じているものがある。
それが、「視野」だ。
「メーカーとお客様、両方の立場に立って考えることはもちろん、会社としての損得も考えないといけない。多方面から物事を見て、考えて行動するというところは、すごく成長したと感じています。」
たとえば、顧客から要望を受けても、そのままメーカーへ伝えるわけではない。顧客が本当に求めていることは何か。一方で、メーカーには何ができるのか。双方の事情を踏まえて一度自分の中で整理し、実現できる形に置き換えて伝えていく。
「お客様から言われたことを、そのままメーカーにぶつけても、できないと言われて終わってしまうこともあります。メーカーの立場にも立って、できることは何かを一度自分の中で考えてから伝える。そこは先輩から教わって、意識するようになりました。」
さらに、仕事をつなぐのは顧客とメーカーだけではない。倉庫や配送会社など、多くの人の力があって初めて商品は届き、仕事が成立する。
入社したばかりの頃、先輩たちを見ながら学んだのも、まさにそうした営業の姿だった。顧客だけを見るのではなく、関わる一人ひとりの立場を考え、相手によって伝え方を変えながら仕事を前へ進めていく。
かつては先輩の背中を追いながら覚えていたその感覚が、いまでは自身の判断や提案を支えるものになっている。
成長する場所を、自分たちで広げていく
そして、その視野はいま、自分自身だけでなく、会社のこれからにも向いている。
「自分の成長は大前提です。でも、自分が成長するには、会社も成長しないといけないと思っています。だから、会社の成長のために、自分もしっかり頑張りたいです。」
会社が新しい市場へ踏み出せば、新たな顧客や商材に出会い、挑戦できる仕事も増えていく。不定形耐火物や電気炉、非鉄分野への取り組みを通じて、自身もその広がりを実感してきた。
「今のTMLにとって、挑戦することは必要不可欠だと思っています。失敗することもありますが、まずはやってみる。そこから次につながるものをつくっていきたいです。」
これからも、まだ手掛けたことのない商材や提案に挑み、一つの成果を継続的な取引へ、さらに別の顧客や地域へと広げていきたいという。
自分が成長できる場所を求めて入った会社で、今は、その場所そのものを広げる側へ。会社の挑戦が新たな仕事を生み、その経験がまた、自身を次の挑戦へと導いていく。
Column:人生で一度はフルマラソンを
1年ほど前から、ランニングを始めました。きっかけは、友人と「人生で一度やってみたいこと」を話していたときに、「フルマラソンを一度走ってみたいよね」という話になったこと。
始めたばかりの頃は、5km走るだけでもすごくきつくて、「もうやめたい」と思ったくらい(笑)。それでも続けるうちに少しずつ距離が伸び、今では一人で20kmほど走ることもあります。
仕事などで頭がいっぱいになったときも、走るとすごくスッキリして、気持ちをリセットできるのがランニングの魅力です。アプリで記録をつけていて、少しずつタイムが縮まっていくのを見るのも楽しみ。今度は、フルマラソンの大会にも挑戦する予定です。完走を目指して、これからも楽しみながら走っていきたいです。
取材を終えて|グループ広報部より
今回の取材で印象的だったのは、「成長」という言葉の意味が、入社時から大きく変化していたことでした。
入社当時に思い描いていたのは、語学力や知識を身につけ、自分自身のできることを増やしていく成長。しかし、さまざまな顧客やメーカーと向き合い、新しい市場の開拓に携わるなかで、その視点は会社のこれからにまで広がっていました。
会社が新たな市場へ踏み出せば、そこには新しい顧客や商材、そして自分自身が挑戦できる仕事が生まれる。だからこそ、会社の成長を待つのではなく、自らその可能性を広げる側に回ろうとする。その姿勢に、若手社員としての成長の頼もしさを感じます。
自分を成長させる「場所」だった会社を、今度は自ら成長させ、次の挑戦が生まれる「舞台」にしていく。
そんな循環が生まれ始めているTMLのこれからを、私たちも追いかけ、伝えていきます。
東京貿易グループでは、様々な活躍の場や、キャリアの機会があります。ぜひ一緒にはたらいてみませんか?お気軽にこちらからお問い合わせください。
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